ウサギが心理士を目指すまで

心理士見習いの日常を綴っていくブログ

動機づけ研究についてまとめてみた① ─内発的動機づけと外発的動機づけ+α─

 こんにちは。サイコうさぎです。

今日は、動機づけのお話。

 

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日々生きていると、しばしば「やる気を出せ!」と言われたり、「なんか今日はやる気がでないな…」なんて思ったりすること、ありますよね。

「やる気を出したい」のに、どうもうまくいかなくて自己嫌悪に陥ったり、逆にやる気がありすぎて、他のことに目が行かなくなったり。なかなか厄介な存在であり、強い味方でもある。

 

しかし、そもそも「やる気」とは何なんでしょう?

辞書によれば、やる気とは「物事を積極的に進めようとする気持」(『広辞苑(第六版)』)(鹿毛ほか,2012)と定義されるようです。なるほど。やるきだ。

いや、「やる気」の意味はとてもよく分かるのだが、「やる気」をどう操れば(出せば)いいのか、教えてくれ….

 

サイコうさぎも日々、この「やる気出せ」問題について考えているのですが、この代物、マジで(奥が深いということ)。

今日も何から書いたら良いか分からなくて、早速やる気なくしました。嘘です。いや、嘘じゃない。やる気ないけど、やる気出して書きます。え、無理。いや….、頑張ります(「やる気が出ない」無限ループ)。

 

さて、書きます。

「やる気」を理解するために、今日は心理学で研究されている「動機づけ」について書きたいと思います。「やる気出す方法」の話までいけなくてごめんなさい。しかも、この記事で書けることはほんの一部。

 

ただ、「動機づけ」とは何か垣間みることによって、「やる気出せ!」という謎ダメ出しに対して、「やる気は複雑なんだよ。いったん黙っとけ!!!」と開き直るマインドは提供できるのではないかと思います。

サイコうさぎも白目を剥きながら日々勉強してる感じなので、意味わからんところは開き直って(半ギレで)書きたいと思います。すいません。

 

以下、目次になります。

 

※本文中の(名前, 年号)は引用元を示しています。引用元一覧は、記事末尾に記載します。

動機づけとは ─定義と分類─

動機づけ(motivation)とは、「行動を引き起こし、行動を持続し、一定の方向に導くプロセス」(櫻井,2009)と定義されます。

なるほど。それで、「やる気」とは?サイコうさぎはこの定義からはよく分からなかったので、鹿毛ほか(2012)をそのまま引用します。

 

『例えば「レポート」を書くという行為であれば、その準備を含めて取り組みはじめること(生起)、そして調べたり、考えたりしながら書きつづける(維持)プロセスを指し、そこには図表を加えたり、文章表現を吟味したりといった行為の調整(方向づけ)が含まれている。このような一連のプロセス(動機づけ)を支えているのが、積極的にレポートを書き進めようとする気持ち、すなわち、「やる気」であることは容易に想像できるだろう。』

 

サイコうさぎは容易に想像できなかったけど!!教えてくれてありがとうさぎ!!

 

この鹿毛ほか(2012)が執筆した著書、すなわち

モティベーションを学ぶ12の理論 ─ゼロからわかる「やる気」の心理学入門─』

という本が、動機づけ研究の大枠を捉えるのに良いという噂を耳にしたので、そのまま読み進めてみました。よし、これを読んだらきっと、「やる気」が何なのか分かるぞ。目次に目を通す。ラインナップはこんな感じ(Amazonの書籍情報を引用)。

 

Theory 1 好きこそものの上手なれ―内発的動機づけ 鹿毛雅治
Theory 2 夢や目標をもって生きよう!―自己決定理論 櫻井茂男
Theory 3 生物の根源的な動機を考える―接近・回避動機づけ 村山 航
Theory 4 努力は自分のためならず―他者志向的動機 伊藤忠
Theory 5 知られざる力―自動動機 及川昌典
Theory 6 楽しさと最適発達の現象学―フロー理論 浅川希洋志
Theory 7 何を目指して学ぶか―達成目標理論 中谷素之
Theory 8 自分のことをどう捉える?―自己認知 外山美樹
Theory 9 「できる」はできるという信念で決まる―セルフ・エフィカシー 伊藤圭子
Theory 10 自分の学習に自分から積極的にかかわる―自己制御学習 上淵 寿
Theory 11 どうして無気力になるのか―学習性無力感 大芦 治
Theory 12 自分や周りの人のやる気に働きかける―パーソナルセオリー 金井壽宏

引用元URL:https://www.amazon.co.jp/dp/4772412492/ref=cm_sw_r_tw_dp_U_x_bh26Db016ZHV1

 

いや、多い!!複雑!!研究は有り難いんやだけどさ!研究者は決して悪くないんだけどさ!!

悪いのは、人に「やる気出せ」とか無責任に言う奴。そなた、自分の意図を理解して仰っているのか??そなたの仰るやる気とは何か、どうぞお示しくださいって感じ。

ちなみに、これらの理論、1つ1つがボリューミー。例えばTheory2の自己決定論に至っては、5つのミニ(下位)理論から成り立っている。

複雑すぎてブチギレうさぎなので、この記事では「やる気」が自分の「内側」から生じたものなのか、「外側」から生じたものなのか(内発的動機づけvs 外発的動機づけ)という、シンプルな2項対立に焦点を当てて、お話をしたいと思います。

 

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内発的動機づけと外発的動機づけ

やる気の研究に関心のある方は、

『勉強も仕事も、楽しむことが大事!!』

『好きなことやってる奴には勝てない』

みたいな話、一度は耳にしたことがあるかと思います。

かたや、

『勉強や仕事なんて所詮、アメとムチ』

『仕事なんか、勤労の義務がなきゃやってねえよ』

みたいに思う人がいる。

前者は内発的動機づけに分類され、後者は外発的動機づけに分類されます。

櫻井(2009)によれば、内発─外発という動機づけは、「自律性─他律性」「目的─手段」という2つの軸で概念を整理すると分かりやすいそうです。

図示すると、以下のようになります(櫻井(2009)を参考に、サイコうさぎが作成)。

 

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一般的には、「内発的動機づけは最強!!」「内発的動機づけが高い人を仲間にするのがコスパ良き!!」と考えられています。

すなわち、ある行動をする際に、その行動自体が目的的で自律的に行動している人が、社会的に望ましく、魅力的であるとされている。

仕事を例にすると、「プログラミング大好きな人がプログラマーになり、仕事自体の楽しさで満足しているため、他の報酬(高い給料)を期待していない」みたいな状態が社会的に最強と言えるでしょう。いわゆる社畜は、世間的には魅力的なのです。

一方で、「仕事は嫌いなんだけど、お金がほしい」みたいな、「報酬クレクレ虫」な労働者は、就活でボロクソ叩かれてるし、世間的に魅力的ではないように思われる気がします。

 

ここで疑問。「将来、こういう目標を達成したくて、お金を貯めたいから、一生懸命仕事頑張っている」みたいな動機づけは、どのように説明だろうか。

この場合、「仕事をお金を稼ぐための手段として位置付けている」(手段的な仕事意欲)という点で、外発的であると分類される。「報酬クレクレ虫」とこの人は、この理論の枠組みでは区別できません。

しかし、「『仕事が喜び』なんて価値観は幻想だ!!」(次回のブログで書きます)だと信じているサイコうさぎにとって、この人はとても魅力的な人物に映る。しっかりと自分のキャリアを見据えていて、地に足がついてる感じで、とても好ましい人物であると。確かに手段的な動機づけではあるが、とても自律的ではないでしょうか。

この、「外発的動機づけの中でも、自律性は段階がある」という観点に焦点を当てた理論として、有機的統合理論」というものがあるので、それを最後に説明したいと思います。

 

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外発的動機づけの自律性 ─有機統合理論─

※この節では、特にことわりがないかぎり、櫻井(2009)を要約した内容になってます

 自己決定論の提唱者である、DeciとRyanは、手段的な動機づけ(「目的─手段」という枠組みによる外発的動づけ)による行動が、必ずしも他律的ではないことを指摘しています。そして、内発的動機づけと外発的動機づけを、自律性の観点から、一元的(同一直線上)に捉えることが適切であると考えました。

そこで、DeciとRyanは、最も自律(自己決定)敵な動機(づけ)である「典型的な内発的動機づけ」から、いわゆる無気力(無動機)に至る動機(づけ)の変化の過程(あるいは発達)に過程を、「自己調整」(self-regulation)のあり方によって6段階に分類しました。

特に、外発的動機づけの段階については、社会的な価値を自分のものにしていく内在化(internalization)に着目して分類を行っています。

図示すると、以下のようになります(櫻井(2009)を参考に、サイコうさぎが作成)。

 

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櫻井(2009)は、Lam & Guland(2008)の研究を取り上げ、就業動機が自律的だと、職務満足度や組織(職場への)コミットメントが高く、健康的であることを指摘しています。

 

※以下、サイコうさぎの解釈

 

先ほど例に挙げた、「将来、こういう目標を達成したくて、お金を貯めたいから、一生懸命仕事頑張っている」みたいな動機づけは、上記の同一化調整に含まれると、サイコうさぎは考えます。手段的な動機ではあるけれども、かなり自律的。この動機を上手に使って、組織で良いパフォーマンスを上げる可能性は十分にあると思います。

「動機づけの自律性」は、キャリア形成の観点において非常に重要な意味をもつと考えられるのですが、意外にもあまり研究されてないようです。サイコうさぎ、ここに切り込むことができたらチャンスかも。

自分自身や他者の努力量から、「やる気」を推し量りたくなる気持ちも分かりますが、その背景にどのような価値観を内在化しているのかを振り返ることが、動機づけをコントロールする上で重要なのではないかと思います。

ちなみ余談ですが、強迫観念によって働くことがやめられない人、すなわちワーカホリズムな人は、「取り入れ的調整」に強く動機づけられている(たとえばStoeber & Townley, 2013)ことが示唆されています。「やる気があるから、自律的」とは、一概に言えない部分があるのです。

まとめ

この記事では、

「やる気を出せ」という奴をぶっとばしたい やる気研究の複雑さ

・内発的動機づけと、外発的動機づけの分類

・外発的動機づけの自律性の着目した、有機統合論

について書きました。

 動機づけ研究の奥深さ、面白さが少しでも伝わっていれば幸いです。

 

この記事では動機づけ研究のほんの一部しかお伝えできなかったので、もっと知りたい方は、今回引用した文献などをご覧いただくか、サイコうさぎまで連絡してくださったらと思います。

これからも、白目剥きながら動機づけの研究していきます。また書きます(白目)。

 

本記事で引用した文献を記載しておきます。

Lam, C. F., & Gurland, S. T. (2008). Self-determined work motivation predicts job outcomes, but what predicts self-determined work motivation?. Journal of research in personality, 42(4), 1109-1115.

鹿毛ほか(2012).モティベーションをまなぶ12の理論 ─ゼロからわかる「やる気」の心理学入門─ 金剛出版

櫻井茂男(2009). 自ら学ぶ意欲の心理学 有斐閣

Stoeber, J., Davis, C. R., & Townley, J. (2013). Perfectionism and workaholism in employees: The role of work motivation. Personality and Individual Differences, 55(7), 733-738.

 

次回は、「労働観の変遷」について書きたいと思います。

サイコうさぎ、普段は働く人が少しでも仕事に前向きになれるよう、「ポジティブ心理学」「ワーク・エンゲイジメント」などの観点から仕事を捉えようとしています。

だからといって、「労働の概念∈ポジティブな概念」だとは、思っていないのです。

というのも、社会思想史的に言うと、「労働は隷従(隷属)行為である」と考えられてきたからです。その前提を置いた上で、どう仕事をポジティブに捉えるか。労働∈隷従行為であるのならば、働く人にどのような動機づけを求めればよいのか。そのことについて考えたくて、次回は労働観の変遷についての記事を書きたいと思います。

 

ではまた、お会いできたら嬉しいです。

 

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学会とは何か ─学会はLIVE、研究者はアイドル─  

 こんにちは。サイコうさぎです。

 この記事は、

・「学会とは何か」をなるべくわかりやすく解説する

・「学会とアイドルの共通点」について考察する

・「産業ストレス学会に参加してみた」話を共有する

ことを目的に書いております。

 

結果的に、この記事が読者の皆さまにとって

・「学会」が行ってみたい場の1つに見えてくる

・「学会」が身近に思えてくる

・「学会」の魅力を探ってみたいと思える

ものになるといいなと思います。

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─学会はLIVE─ 

突然ですが、皆さまはLIVEがお好きですか?

・大好きなアーティストのコンサート

をはじめ、広義には

・応援しているスポーツチーム(選手)の試合観戦

・劇場で行われる演劇やミュージカル

など。

例えばアイドルならAKB48、サッカーなら川崎フロンターレ、ミュージカルなら宝塚歌劇団など。

 LIVEのような「自分が追いかけている対象を軸に、人が集まる場」って、とても魅力的だと思うのです。

・LIVEの場が作り出す緊張感が好き

・ひいきしてるチームが勝負事に勝つと、テンションが上がる

・ファンコミュニティでの交流が楽しい

LIVEに出向く動機は人それぞれかと思いますが、とにかくかけがえのない空間だという気がしています。

 ここで問題提起。

「とある研究が好き」な人が集まる場(LIVE)はどんなところなのか?何がどう魅力的なのか?

それが、本日お話ししたい「学会(学術大会)」についてです。

 

😲※サイコうさぎはアイドルに熱狂している人(アイドルオタク、通称ドルオタ)のため、「アイドルコミュニティの共通点」について考察しながら、この記事を書きたいと思います。

 

 

─学会とは何か(定義)─

繰り返しになりますが、一言でいうと、

学会=「とある研究が好き」な人が集まる場(LIVE)

です。

 

もう少し公的に、厳密に申し上げますと、

「学者相互の連絡、研究の促進、知識・情報の交換、学術を振興とする場」

であります。

広辞苑によれば、学会とは上記のような場(学術大会)を提供する「組織」を指すのですが、本記事では但し書きがない限り、学会=学術大会を指す言葉として用います。

 

例えば、「産業ストレス学会」
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私のように、

・「ストレスフリーだと思いながら働いてる人が、どういう気持ちで働いてるのか知りたい」

という研究にワクワクしてる人もいれば、

・「ストレスフルな環境で働き続けると、どんな病気にかかりやすくなるのか」

という研究にワクワクしてる人が1つの場に集まって、

自分の研究成果を発表する、オーディエンスとして学ぶ、学会を運営する対話を通して交流するといった活動をしています。

 

 

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─学会の魅力─

~学会とアイドルの共通点~

学会=アイドルのLIVE空間みたいだ!!

と私は思っています。それが魅力の1つだということを提唱したい。

 もちろん、目に見える側面では学会とアイドルLIVEは全然違います。

私も学会に行く前は

「なんかえらい人たちが難しくてありがたいことを喋ってる場所、退屈」

「頭の良い大学関係者、研究者しか行ってはいけない場所、場違い」

「閉鎖的なコミュニティの寄り合い、こわい」

みたいなイメージを持ってました。こわいところだ。

 

しかし、

学会(組織)がどう成り立ってるのか、

学会(学術大会)の参加者たちがどんな人なのか、

学会(登壇者)で発表する人はどんな人なのか

ということを抽象的に考えていくと、学会について違った見え方がしました。実際は超楽しいコミュニティ。マジでアイドル。

 

そこで、少し持論を展開していきたいと思います。

説明のため、AKB48グループ」「産業ストレス学会」を比較してみたいと思います。

※本当はアツく語り倒したいところですが、夜通し語れちゃうのでだいぶ割愛しました。残念、無念、また来年。。。

 

★学会(組織)とアイドルコミュニティの共通点

どちらも

・同じ関心事に興味がある集団

・1つのものが大好きな集団

・共通点と相違点がある集団

だと考えられる。

 

例えばAKB48グループを例に考えてみよう。

AKB48グループのファンコミュニティは、

・「アイドル」に惹かれる人々によって構成される。

・1つの対象を追いかけてる「オタク」集団である ※ファン度の強さには個人差があります

・「AKB48」という概念に惹かれているという点で共通してるが、「秋葉原の48が好きな人がいれば博多の48が好きな人もいる」といった相違点が存在する

と考えられる。

 

では、学会はどうか。

・「研究(ここでは産業ストレス)」に惹かれている人々である

・1つの対象を追いかけてる「オタク」集団である ※ファン度の強さには個人差があります

・「研究(ここでは産業ストレス)」という概念に惹かれるという点で共通しているが、「産業医としての役割に興味がある人もいれば、人事としての役割に興味がある人もいる」といった相違点が存在する

 

あれ....??

 

 

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★学会(登壇者)とアイドルの共通点

・夢を与えてくれる

・会いに行ける存在である

・同じ土俵で活躍すれば、会いに来てくれる存在である

 

AKB48の「前田敦子」さん。

・「普通の女の子」が、「アイドル活動を頑張って」、「ステージに立つ」ストーリーをもつ

・「握手会」や「LIVE」を通して、交流することができる

前田敦子さんに「憧れて」、「同じ土俵(つまりAKBのステージ)」に立てば、会いに来てくれるかもしれない 

前田敦子さんはAKB48を卒業したため起こりにくいかも

 

とある学会登壇者。

・「ある人」が、「研究活動を頑張って」、「ステージ立つ」ストーリーを持つ

・「懇親会」や、「学会(学術大会)」を通して、交流することができる

・〇〇さん(特定の研究者)に「憧れて」、「同じ土俵(つまり学会のステージ)」に立てば、会いに来てくれるかもしれない 

※〇〇さんが研究を引退している場合は起こりにくいかも

 

私たち....?

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★学会(学術大会)とLIVEの共通点

・好きなものを通してつながる場を提供する

・好きなものを拝め、発展させる

・好きなものを、より好きになって追いかける(沼)

 

 (説明略)

 

 

同値だねーーーーーー!!

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※同値ではありません

 

 

 

─産業ストレス学会に参加してみた─

ここまで、

・「学会」が行ってみたい場の1つに見えてくる

・「学会」が身近に思えてくる

と、読者の皆様に思ってもらえることを願って文章を書きました。

そのために、「学会とは何か」「学会の魅力」「学会トアイドルの共通点」について考察してみました。読者の皆様にとって、学会が面白い場に見えてきていたら幸いです。

 

最後に、

・「学会」の魅力を探ってみたい

と思ってもらうことを願って、「産業ストレス学会に参加してみた」話を書いてみたいと思います。

 

★産業ストレス学会に行ってきた

11/29金、11/30土と、「第27回日本産業ストレス学会」に参加してきました。さっきからちょいちょい例に出している学会です。

「発表できる研究ができてから学会行け」という心の声が聞こえつつ、学会に行ってトレンドを押さえることは「心理士の道」(特に産業心理臨床)を進む上で大事だよな、むしろ分からないからこそ学ぶんだよなと思い参加。

フリーター、学会へ行く。

 

★今回の学会のテーマ

この学術大会は、「産業ストレスの研究に興味ある人」が集まる場です。

 今年は、

産業ストレスと法 〜多職種の共働による予防法務の確立に向けて〜

※大会HP:http://www.knt-ec.net/2019/jajsr/program.html

がテーマということで、そのテーマに沿った話題の集まり方、人の集まり方が特徴的でした。

 

話題としては

ストレスチェックの意義、活かし方についての多職種連携

・パーソナリティ障害を持つ人の復職可否について模擬裁判

・労働者を支援する法律の国際比較(米、蘭、日など)

などが目玉の演目だったのかなと感じました。

 

参加者は、

医療職(産業医保健師など)、心理職(公認心理師など)、司法関係者(社労士、弁護士など)、企業人(人事・労務など)、そして産業ストレスに興味がある人

などが一同に集まっていました。

ふーん、って感じかもしれませんが、「医者と弁護士と企業人etc...」が、1つの場所に集まって議論してるって、なかなかレアな光景だと思うんですよね。しかも一ヵ所じゃなくて、そこら中で。だけど、これからの時代は連携が必要らしい。

 学会全体を通して、「連携」と「対話」の重要性について提言していて、とても腑に落ちました。刺激的な空間でした。

 

★個人的面白ポイント

正直言って、「どの演目も最高!!」って感じでしたが、サイコうさぎ的にこれは心に響いたな、っていう話題を3つ、メモしておきます。

きちんと情報収集して考察して、いずれは記事にしたいと思います。

 

・「即座の具体的対応」を求める若者

→大学内カウンセラーさんの話。近年カウンセリングに来る大学生について、次のようなことをおっしゃってました。

「知的・現実的・具体的な関わりが優位。一方で、自分の感情や他者の感情を直感的に把握する能力が低下してきていると感じる。こういう変化は、近年の社会変化への適応の結果ではないか。」

#情報化社会(仮説)

 

・「両価性」を受け入れる ~パーソナリティ障害を例に~

→これは精神分析の理論。

パーソナリティ障害を抱える人は、

①相手に対するイメージと自分のイメージが融合している

②「良い自分」と「悪い自分」が分離して、その両価性を受け入れがたい

このことで苦しんでいると考えられる。

#自己愛

 

・「発達障害」を考える ~障害ではなく遺伝のバリエーション~ 

 

→とある大学教授の講演で惹きつけられた話。

ASD(自閉症ベクトラム症)は神経の1つの種類(個人差)であり、「障害」ではないのでは?

・現に、ASDの遺伝子頻度は高い。もしASDが生存に不利なら遺伝子が淘汰されてるはず。このことから、ASDの人がいることで、人類は何かしらの恩恵を被っていたのではないかと考えられる。それは何か。

発達障害の悪いところではなく、良いところに目を向けよう。

 

#ニューロダイバーシティ 

 

以上です。

次の記事では自分の研究の核である、「動機づけ研究」について書きたいと思います。

 

ではまた、お会いできると嬉しいです。

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自己紹介 ─夢の変遷を辿る─

はじめまして。サイコうさぎです。

 

まずは簡単に自己紹介。

・アイドルとSHISHAMOが大好き。可愛いは正義。

・大学の社会学部で学び、社会について勉強する

社会心理学にはまり、メディア/教育などの研究する

・留年からのフリーター(今ここ)

・来年度から臨床心理学指定大学院に入学予定

 ブログタイトルの通り、ウサギを目指していたはずが、色んなことを経て、現在は心理士を目指すに至っております。

 

本ブログでは、

・個人として書きたいな、発信したいなと思ったこと

そして本題である

・心理士を目指し始めてから心理士になるまでの過程で起こったこと、考えたこと

・心理士見習いとして、研究に基づいた心理学の知識

を中心に、記事を書いていきたいと思います。

 

自己紹介、何を書こうかなと思ったのですが、

ブログタイトルが「夢」に関することなので

私の夢の変遷について

振り返りながら自己紹介していきたいと思います。

 「ウサギ目指すってなんやねん」と思った方も、どうかお読みいただけると嬉しいです。

 

とにかく可愛くなりたかった時期(幼少期~幼稚園)

近所の末っ子、兄弟いとこで唯一の女の子という環境が私の初期値でした。

周囲から大事にされ、可愛がられ、むしろ「わがまま」であることが私の存在意義なのかなというくらいの甘やかされっぷり。

そこで私のアイデンティティ

「女の子」「年下」⇒「可愛い」!!!

に全振りされてました。可愛く在ることが、生存戦略だと思ってました。

 従って、夢として挙がってくるものは

・ウサギ

・パティシエ

・アイドル

など。ブログタイトルの「ウサギ」は、ここからスタートしてます。

 しかし、年を取るにつれ「可愛いは有限」であることに気づき、次のフェーズへ。

 

好き・得意を仕事にしたい時期(小学校-中学生)

楽園から引っ越し。転校生なので、ここでは人間関係構築力が必要。人のことを良く見て、考えて行動しないとだめ。でも、「人と仲良くなるってどうやるの?」状態。

既に「可愛い」という生存戦略は頓挫してる。そこで私は、新たなアイデンティティを見つけるべく、自分のスキル面に夢を委ねるようになりました。

 

当時は、学校に順応、学校、学校という感じの生活だったので、思いつく夢は

・音楽を使うお仕事(歌手とか)

・理科を使うお仕事(エンジニアとか)

・英語を使うお仕事(外交官とか)

とかだったがします。しかし、新しい夢を持つたびに、「そのレベルじゃ無理」という正論に叩きのめされる。それに自分も納得してしまい、自己批判だけが残る。

 

結果:社会的比較を行うようになり、「上には上がいる」という真理に打ちのめされ、夢ネグレクトに。次のフェーズへ。

 

社会に染まろうとした時期(高校生-大学2年前半)

夢ネグレクトになり、「私が何をしたいか」ではなく、ただただ、「とにかく上」という欲求を行動の原動力にしてました。競争心で受験を勝ち抜き、いい感じの高校に入れてしまったという成功体験が、この夢(信念?)を追うことに拍車をかけてました。

「限りなく強者(No.1)に近づくことが努力の意義」であり、強者でなければ社会で生き抜けないと、だんだん思い込むようになっていました。

 

だから、目指すところは

・お金持ちと結婚して、セレブママになる

または

・バリバリ働く自立したキャリアウーマン

みたいな選択肢の二者択一。

 

しかし前述の通り、「上には上がいる」。上記のような曖昧な目標設定は、単に自分を追い込むことを正当化するだけで、自分を何者にもしてくれないんですよね。

大体、「ウサギ🐰になる~~!」をアイデンティティにしてた奴が、急にライオン🦁を目指すかのような頑張り方をするのは明らかに健康に悪い。

 結果、「私は強者にはなれない。だから、社会を生き抜けない。」と思い、メンタルを狂わせて暗黒期へ。

 

暗黒→希望を見出す時期(大学2年後半)

闇が深まって参りました。病むとはこういうことなのかと思いました。

「社会を生き抜けない」という認知は、

「死」という選択肢

をちらつかせます。それくらい、強烈な自己批判に見舞われました。

(「病んだ経験」については、またいつか書きたいと思います)

 

一方で、死を意識するくらい自分のアイデンティティを破壊させると、今度は失ったアイデンティティを取り戻そうとして、新しい価値観を急激に吸収しだすんですね。人間、よくできてる。

ここで、色んな友だちや社会人と話したり、本の世界に浸ったりして、自分の夢、自分の行動の「動機」について、めちゃくちゃ考えてた気がします。

 そのころに関わってくだった方には、本当に感謝の気持ちでいっぱいです。

そしてやっと、現在のフェーズに移ることができました。

 

現在:統合期(大学3年生-現在)

現在は、「動機づけ」の研究をしています。

 

 最近は「職場のメンタルヘルス」の研究を主軸としているので、私が普段考えていることは以下のようなことです。

・バリバリ仕事している人の中で、健康な人とそうでない人の動機づけの違いは?

(狭義:ワーカホリズムとワークエンゲイジメント、バーンアウトなど)

・やらなければならないこと(仕事)と分かりきっていることに対して、やる気が出ないのなぜか?

(関連:自己効力感、完全主義といったパーソナリティ特性など)

・どのように働く人を支援すれば、人がいきいき働けるのか。

(関連:諸々の認知行動療法、睡眠等の健康指導)

 ↑上記のようなことを考えることは、私にとってめちゃくちゃ面白いことなんです。

 

なぜか。

「人の役に立ち、自分もハッピーになれるようなことをしたい。そして、そうなろうと努力できる」と思ったのが、上記のような研究であるからです。自分の目的や欲求と、行動が一致してる状態。

それを概念的に表すと、心理士を目指すことかなと思っています。

 

ちなみに、私の行動の原動力になっているものは、「親和動機」

親和動機とは、簡単に言うと「人と仲良くなりたい」という欲求です(動機づけについても早々に記事を書きたい、、、!)。

 

 私のこれまで抱いた夢に関して、出発点はいつも親和動機だった気がします。

例えば夢との関連で言うと、

人と仲良くなりたい→win-winな関係が良い→「ウサギ」になりたい

人と仲良くなれない→スキルと地位でコミュ力不足を補う→「強者」になりたい

人と仲良くなりたい→お仕事で人の役に立つ→「心理士」を目指す

みたいな感じ。

だから私は、病める時も健やかなる時も、人との親和を求めて何とかやってこれたのではないかなと思います。これからも親和を求めていきます。

 

まとめ

以上が、「ウサギが心理士を目指すまで」の経緯になります。

研究を進める中で、研究の内容や職業としての肩書は変化していくかもしれませんが、しばらくは「心理士」を目指しながら

「人々の心身の健康を支援し、日々の幸せを守る」

このことを将来の夢として、頑張っていきたいと思います。

 

ではまた、別の記事でお会いできることを願っています。